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zoom RSS 中村修也『偽りの大化改新』講談社現代新書

<<   作成日時 : 2006/10/18 15:08   >>

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 大化の改新は中大兄皇子が主導したものではなかった。日本書紀を疑い検証すると別の人物が浮かび上がってくる。それは…(ネタバレしてます)

 著者は大化の改新前後、いくつかの疑問を感じる。それは、@中大兄皇子は蘇我入鹿を殺害後、なぜ自分が即位しなかったのかA蘇我氏が倒されたのになぜ皇極天皇は退位したのかB軽王子(孝徳天皇)がどのような理由で大王に選ばれたのかC中大兄は王族なのにどうして自ら殺害に加わったのかD蘇我倉山田石川麻呂は、同じ蘇我氏なのにどうして入鹿殺害に加担したのかE大化の改新の際、大海人皇子は何をしていたのか。

 うーん確かに大化の改新には謎が多い。上の@は大疑問だ。大化の改新後中大兄皇子は自ら即位せず、先ず孝徳天皇、そして母の皇極天皇がもう一度天皇になって(斎明天皇)、そしてようやく自分が天皇となる。AもCも疑問だ。

 第一章から第二章はこの謎にせまり、大化の改新には実は黒幕がいたとする。そして一つ一つ丁寧に外堀を埋めて行き…とうとう黒幕が導き出されていく。この過程はなかなかスリリングだ。その黒幕とは孝徳天皇だ。大化の改新は改新でも何でもなく、単なる孝徳天皇の皇位簒奪事件だとするのだ。

 うーむ孝徳天皇黒幕説か…それは初めて聞いたなあ。

 第三章で孝徳天皇の素顔についてせまり、さらに証明していく。が、ここはちょっと論の展開が強引のような…筆者の意見に賛同できるところと賛同できないところが出てくる。

 筆者は否定するが、僕は上の@の疑問には天皇になると動きにくいからという説をとる。少なくとも天武以前は、天皇が本当に実質的に権力を握った事は非常にまれだ。朝廷は大王と豪族の連合政権であり、豪族の意志を無視できない。まとめ役にならざるを得ず、あまり自分の意見を押し通せない。一歩引いた地位の方が自分の意見を突き通せる。

 と、いうわけで、僕は大化の改新は中大兄皇子が主導はしたが、まだまだ弱い勢力だったと考える。そして孝徳、斎明天皇治下で影響力を強めていったと思うのだ。

 また日本書紀には、天智天皇が冷酷な大王であるという印象を読者にもたせようという意図が感じられる。このことについて疑問を解決するのが第四章だ。
 
 大化の改新時の蘇我入鹿の殺害、古人大兄の殺害、蘇我倉山田石川麻呂を自刃に追いやる、孝徳天皇を難波宮に置き去りにする、有馬王子を尋問し絞殺させる、大海人皇子を殺そうとする、といった記述から天智天皇の印象をわざと悪くしようとしており、これは日本書紀の編纂を開始させた天武天皇(大海人皇子)が犯人であるとしている。

 うん。これには賛成。天武天皇、もしくはその側近の仕業だろう。大化の改新にまでさかのぼって史実を改竄したとは思わないが、大化の改新後の天智天皇の行いは史実以上に悪く書かれている気がする。壬申の乱で天智天皇の息子を殺して天武朝を開いた天武天皇にとって天智を悪く言わなければいけなかったのは納得がいく。

 第一、第二章は非常にスリリングで面白い。第三、第四章はちょっとクビをひねるけど、でも面白かったです。歴史はいろんな見かたができるという証明の様な本だ。是非ご一読を。

 僕は天智天皇はけして冷酷とは思わない。いろんなことに苦しんだ非常に人間的な天皇だと思う。大河ドラマにしたらええのになあ、と思うんだけど。天皇だからできないのかなあ。

偽りの大化改新
偽りの大化改新 (講談社現代新書)

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