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zoom RSS 國松孝次『スイス探訪−したたかなスイス人のしなやかな生き方』角川文庫

<<   作成日時 : 2006/03/28 14:25   >>

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 『ヴィクトリア女王』は挫折したわけではないのだが、短時間で読めそうにはないので、さらに専門書の翻訳みたいで、それはそれで興味もあるのだが、小説でもないし…新しく見つけた『スイス探訪』を先に読むようにした。ってこれも小説じゃないじゃん!ってツッコミを入れてくれれば、関西人としてはうれしい。

 99年から3年間、スイス大使を務めた筆者が、スイスの歴史、風俗、民族性を語る。先ず驚いたのは、最初の「ウィリアム=テルを知ってますか」。今、ウィリアム=テルを知らない人が増えているらしい。著者が調べたところによると、シラーの戯曲の翻訳本も、絵本類も皆絶版になってるそうだ。こうなると、やっぱり教育の義務は大きくなるなあ。最近思うのだが、小中高の先生方、HRとかで常識的なお話は是非してほしい。家庭でも、お父さんやお母さん、ぜひ子どもにお話をしてほしい。ウィリアム=テルを知らないで大人になるのは、寂しいじゃないか。日本でも最近、時代劇が少なくなったし、核家族化がすすんでおじいちゃんおばあちゃんと一緒にテレビを見ないので、『水戸黄門』は知ってても、『遠山の金さん』や『大岡越前』を子ども達はほとんど知らないのだ。三方一両損や2人の母親が子どもの手を両方から引っ張る話なんかは日本人の知恵として知ってほしいものだ。ちなみに、ウィリアム=テルはスイスの弓の名人、悪代官の言うことを聞かず捕らえられ、息子の頭の上に置いたリンゴを射落とせ、と命じられる。ウィリアム=テルは迷うが、息子に励まされ見事リンゴを射落とす、というのがあらすじだ。ウィリアム=テルは実在の人物ではないのだが、ハプスブルク家から独立したスイスにとっては、スイス独立の戦いとダブるのだ。またシラーは建国英雄譚を集めて戯曲を書いたとも言われる。

 このウィリアム=テルの話の他にも、ハプスブルクとの戦い、ルソーについて、スイスの歴史とは切っても切れないスイス傭兵の話、ナポレオンとスイス、第二次世界大戦とスイス、国連加盟についてなど、建国から現在までのスイスの歴史が簡単に分かるようになっている。驚いたのはスイスの直接民主制度だ。スイスは2002年、ようやく国連に加盟した。EUに加盟していないことは知っていたが、国連にもつい最近まで加盟していなかったとは知らなかった。しかもこの国連加盟は国民投票で決まったのであり、それも僅差で決まったのだ。スイスでは重要な案件はほとんど全て国民投票によって決せられる。特に憲法改正を伴うものは国民の過半数の賛成を必要とすると共に、各州の過半数が賛成にまわらなければいけないのだ。それ以外でも2州では全住民が一日一堂に会し、州の重要事項を全て決するランツゲマインデの制度を維持しているのだ。国民皆兵制度も興味深いし、独特な共同体制度も興味深い。

 スイスの民族性で面白かったのはスイス人に関するポケットジョークの話で、スイス人の金にまつわるものも面白いが、一番笑ったのは「スイス人に土曜日にジョークを言ってはいけない。なぜなら、日曜日のミサの最中に笑い出す」というもので、ヨーロッパではスイス人は万事に鈍いという定評があるらしい。祭りの話も面白かった。「ガチョウの首切り祭り」という見た目は何とも残酷な祭りがあるのだそうだ。

 このように1冊でスイスの事が楽しく、簡単に分かるようになっており、オススメだ。そういえば似たような本にオランダの本があったなあ、次はそれにしようか…と思っていたら、何と久方ぶりに宮城谷昌光の文庫が出たじゃないか!というわけで次は宮城谷昌光の『香乱記』(一)(二)だ。『ヴィクトリア女王』は…しばらく本棚の中になりそう。

スイス探訪―したたかなスイス人のしなやかな生き方
スイス探訪―したたかなスイス人のしなやかな生き方 (角川文庫)

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