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zoom RSS 塩野七生『ロードス島攻防記』新潮文庫

<<   作成日時 : 2006/03/23 23:24   >>

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 騎士団という響きには、ヨーロッパに興味を持つものにとって、やはり何かしらロマンをくすぐられる響きがある。塩野七生の地中海三部作の二作目であるこの書は、中世ヨーロッパ以来現在まで存在する聖ヨハネ騎士団の活躍を、1522年のロードス島攻防記を中心にしながらも、設立時から現在の状況まで知る事が出来る一冊である。

 中心となる1522年のロードス島攻防記とは、1453年のコンスタンティノープルの陥落後、ますますオスマン帝国が西方に領土を広げる中、最前線となったロードス島にこもる聖ヨハネ騎士団対オスマン帝国最盛期のスルタンと称されるスレイマン1世の攻防を指す。この物語は記録を残したアントニオ=デル=カレットが、攻防の始まるちょっと前に騎士団に参加するところから始まる。騎士団長秘書官のジャン=ド=ラ=ヴァレッテ=パリゾン、私生活では問題のあるものの、対イスラム攻防の指揮官としては有能なジャンバッティスタ=オルシーニ、を加えた三人を中心として書かれている。

 第一章の導入の後の第二章と第三章は、聖ヨハネ騎士団の設立から、1522年までの歴史を詳しく述べている。騎士団の衣服の絵もついていて、我々の騎士団へのイメージを確かなものにしてくれる。驚くべきことに、聖ヨハネ騎士団はもともとは病院兼宿泊所の施設から始まった。聖地イェルサレムを訪れるキリスト教徒を助ける団体として始まったのだ。それが十字軍に参加する武装組織となり、十字軍の失敗の後、地中海の孤島、現在のトルコのすぐ近くのロードス島を本拠地とするようになり、イスラム教徒との戦いの最前線の勢力となったのだ。

 第四章、第五章、第六章と騎士たちの戦いがクライマックスへ向かって盛り上がっていく。スレイマンの軍隊がせまってくる緊張、戦い、友情、陰謀、愛、中世ヨーロッパの実際にあった出来事を見事に小説にしあげている感じだ。また敵であるスレイマン1世の記述もしっかり書かれているところが、塩野七生の丁寧なところだ。丁寧といえば、その後の騎士団もエピローグでしっかり書かれている。

 登場人物が少なくなった分、前作の『コンスタンティノープルの陥落』より読みやすいんじゃないだろうか、そのへんもオススメポイントである。前作同様薄い、安い。ヨーロッパ世界や歴史に興味ある人はぜひ読んでほしい。

 今日新刊のヴィクトリア女王の本を買ってきた。次はこれになる予定、しかしこの本税抜きで1333円もするんよなあ。文庫本で1000円以上て!値段もやっぱり関係あるよね、『ロードス島攻防記』とはえらい違いだ。まあせっかく買ったし読もう。ヴィクトリア女王の伝記なんて珍しいわな。

ロードス島攻防記
ロードス島攻防記 (新潮文庫)

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コメント(2件)

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拝啓、コンスタンティノープルの陥落にての 若きスルタンの透明な意志。 宰相よ、私は、そんな物はいらない。 私が欲しいのは、ただ一つ。 あの街を下さいと。 強い印象を持ちました。 草々
(^-^)風顛老人爺
2006/03/24 21:49
風顛老人爺さん、コメントありがとうございます。地中海三部作の文体の特徴の一つとして、非常に冷静な言葉で感情を書き綴っているにも関わらず。鮮烈な印象を残すことがあげられると思います。この『ロードス島攻防記』にも強い印象を持つセリフがあると思います。ぜひぜひどうぞ。
悠敏季
2006/03/24 23:05

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