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zoom RSS 佐藤賢一『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』(講談社文庫)

<<   作成日時 : 2006/02/23 06:47   >>

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佐藤賢一の短編を初めて読んだ。読みやすい。
収められている短編は7編、タイトルとページ数、初出、それぞれの導入を紹介してみる。
『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』 全83p 初出は小説現代 03・9月号
…ジャンヌ・ダルクは謎の人物である。農民の娘であった少女が、ある日神託を受け、
  仏王のために立ち上がり、イギリス軍やブルゴーニュ軍などに占領された各都市を
  次々と解放していく。彼女は一体何者なのだろう?
  筆頭侍従官のジョルジュ=ドゥ=ラ=トレムイユは王の寵愛を失うのを恐れ、
  調査、推測していく。そしてたどり着いた結論は…

『戦争契約書』  全29p 小説現代 01・10月号
…実在する戦争契約書を元に、百年戦争に参加した二人のイギリス郷士の心情を書く。
  「百年戦争」に参加しようとした二人は戦争義兄弟となることを誓って、戦争契約書を交わすが、
  どちらかがもし捕虜となった時、もう一人は義兄弟として、どこまでするのか。
  お互い相手の思惑をちらちら考えながら決めていく。

『ルーアン』  全29p 「散りぬる桜」 廣済堂出版 04・2月刊
…ジャンヌ=ダルクが捉えられたルーアンに、ドミニコ会托鉢修道士が審問しに向かう。
  立場に反して、ジャンヌ=ダルクに好印象をいだいた彼は何とかジャンヌを救おうとするが…

『エッセ・エス』 全64p 小説現代 02・11月号
…スペインのカスティリヤ王国の騎士グティエレス=デ=カルナデスが王女イサベルを救うため、
  アラゴン王国王子フェルナンドに軍隊を出してもらうよう要請に向かう。
  フェルナンドは一見気にくわない人物に見えたが、しだいに…

『ヴェロッキオ親方』 全8p 東京新聞 00・8月26日
…フィレンツェの職人ヴェロッキオ親方はある時、弟子の才能に気づく、その弟子とは…

『技師』 全44p オール読物 00・2月号
…16c、イタリアの小国ロカ共和国にフランス軍がせまる。
  理由があって故郷を離れていた、ダヴィンチの弟子で軍事技師のアントニオは舞い戻り、
  自分の力を故郷の人々に見せつけながら故郷を救おうと奮闘するが…

『ヴォラーレ』 全41p 別冊文芸春秋 99・10月第229号
…ダヴィンチの物語。飛行実験に夢中になった彼は…

佐藤賢一の作品は、今まで『王妃の離婚』『カルチェ=ラタン』『カエサルを撃て』『双頭の鷲』
と読んできた。
大学で西洋史を専攻した僕にとって、数少ない西洋史の小説の作家として嬉しいのだが、
たいてい一人称で語られるその文体が、もっさり感じられて読みにくい気もしていた。
でも短編だとそこまで感じず、普通に読みやすい。
佐藤賢一の良い所は、人物の弱さを書くところだ。歴史作家はたいてい自分の入れ込んだ人物に
ついて書くので、主人公は変に持ち上げられることが多い。しかし佐藤賢一は、主人公の苦悩を書
く。主人公以外でも、この作品のジャンヌ=ダルクや『カエサルを撃て』のカエサル、『双頭の鷲』の
エドワード黒太子など、歴史上の偉人ですら、弱い部分を徹底して書く。その辺に魅力を感じる。
人間とは弱いものだ、でも何とかして生きていかなければならない。強くありたいと思っても、人生
とはそううまくいかない。これは歴史上の人物だってそうだったはずだ。その中にこそ、真実はある。
この本を読んで、ジャンヌ=ダルクの苦悩、ダヴィンチの苦悩、その他の主人公の苦悩を感じて
欲しい。「あー、そうだよねえ」と彼らを身近に感じれるはずだ。

あと西洋史の話は、西洋史をあまり知らないと、とっつきにくく感じるかもしれないが、
この作品はそういう意味でも、ジャンヌ=ダルクやダヴィンチの話など手をだしやすいと思う。
『エッセ=エス』『ヴェロッキオ親方』『ヴォラーレ』は最後まで読むと、それほど西洋史に詳しくない
人も、「ああ。なるほど」と思えるようになってるし。

ちなみに僕は『技師』が一番面白かったかな。あとありがちではあるけど『ルーアン』も主人公の
心情によく共感できた。『ヴォラーレ』も好き。『エッセ=エス』はイサベルとフェルナンドについて、
違う話も聞いているので、「ホントはどっちなのかなー」と思います。

次は塩野七生の『コンスタンティノープルの陥落』にするつもり。これも西洋史の小説としては読み
やすくオススメ。久しぶりに読み返して、紹介します。 

ジャンヌ・ダルクまたはロメ
ジャンヌ・ダルクまたはロメ (講談社文庫)

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「ジャンヌ・ダルクまたはロメ」佐藤賢一
久しぶりに、佐藤賢一を読みました。そういや、この人も直木賞作家ですねえ。リュック・ベッソンの「ジャンヌ・ダルク」が好きで好きで仕方がないんですが、狂気ってゆーか、妄想に取りつかれた少女ジャンヌってのが、ミラ・ジョヴォヴィッチの体当たりの演技とあいまって... ...続きを見る
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